龍ちゃんの特徴のひとつは、そのメニューの多さ。実は開業当初は「ラーメン」「ねぎラーメン」にチャーシューを加えるかどうか、と麺類のメニューはむしろ少ない方であった。それが25年の間に少しずつ増えていった、のである。

 

「背脂」ってどうなの?

 

まず龍ちゃんの特徴のひとつでもある「背脂」について語りたい。

文字通り、豚の背中のあたりの脂のことで、これを龍ちゃんでは「ちゃっちゃ」とスープに加えている(こういったスタイルは「背脂チャッチャ系」と呼ばれている)。

スープの表面は白い背脂に覆われるのであるが、もしかするとよくわからない人は

「脂すごすぎる…大丈夫かなぁ」

と心配するかもしれない。だが、それはご無用である。

一口スープを飲むと、広がるのは甘み。それが豚骨スープとあわさると、えもいえぬおいしさを生むのである。

だけでなく、食べた後に口のなかやくちびるがベトベトする、などということはない。

これが背脂スープの魔性の魅力である。

それでも心配な方のために龍ちゃんでは「脂の量はどうしますか?多め?少なめ?」と聞いてくれるのでご安心を。

ご年配の方にも愛されているように、いやな脂っこさはまったくないのです。

 

 

なにをたべようかな。

おすすめはありますか?

 

さて初めて入ったラーメン屋さんで何を頼むか、これはいろいろな人がいると思う。

「まずはシンプルに、ラーメンでしょ」

そういう方は、それを貫いていただくのがいい。なにせ、ラーメン屋さんなのだから、店主の一番の傑作が「ラーメン」なのである。

 

「俺はラーメンといえば、味噌なんだよな」

味噌ラーメンが好き、塩ラーメンが好き、いやいや、つけ麺が好き。龍ちゃんにはそのどれもが用意されているので、ぜひお好きなものを食べてほしい。

 

「おっ、油そばもあるんだ!」

近年少しずつ増えてきたが、都内はまだしも横浜で油そばを食べられる店は限られていた。何をかくそう、筆者も油そばを目当てに龍ちゃんにたどり着いたひとりである。

 

「おすすめはありますか?」

初めてきたであろう人が店主にこう問うことは珍しくない。カウンターでラーメンを食べていると、しばしば耳にする。

龍ちゃんではこういうとき、

「どれもおいしいですけど、人気者は『黒龍』ですかね」と返ってくる。

黒龍とは黒いマー油(こがしニンニク)を加えたメニュー。黒龍ラーメン、油そば黒龍、黒龍つけめんがある。背脂スープが特徴的な龍ちゃんだが、黒龍バージョンにすることでその味・風味は趣を変える。

 

ちなみに別角度からいうと、龍ちゃんには国産バラチャーシューを使った「バラチャーシューメン」というメニューがある。簡単に言えば、分厚いチャーシューなのだが、おどろくほど柔らかいお肉で、これも店主の力作だ。それゆえ、黒龍と組み合わせた「黒龍バラチャーシューメン」最強説があることは否めない。

 

ラーメン屋さんの最強メニューなんて、食べ盛りの男子じゃないとキツいでしょ?というのは一般的な話ではそうだと思う。

この点、龍ちゃんには老若男女、幅広い年齢層のさまざまな人が足を運んでいる事実をお伝えしたい。黒龍バラチャーシューメンを毎回のように頼むお姉さんも珍しくないので、ぜひ。

 

 

「人気メニューは何ですか?」

 

これはおそらく、店主を悩ませる質問ナンバーワンではないだろうか(聞いてはいけない!というわけではありません)。その理由は、多彩なメニューそれぞれにファンがいるから、である。

私のように油そば黒龍の虜になってしまった者もいれば、たとえば梅ラーメンが大好きで仕方がないという人もいる。味噌カレーラーメンに目がない、白龍ラーメンが食べたくて仕方ない。そんな人たちが足を運んでいるのが龍ちゃんなのだ。

それはやはり、各メニューのおいしさを裏付けているように思う。

 

なので、私が知人を初めて連れて行った時には、「どれもおいしいから、気になったものを食べてみて下さいよ」ということに至るのである。

一応、「私は黒龍のラーメンや油そばをよく食べるよ」という言葉を添えて。

 

 

サイドメニューと侮るなかれ

 

忘れてはならないのが、サイドメニューの品々だ。食いしん坊諸君であれば、大盛もよいが、ご飯ものを頼むことを検討してほしい。

 

筆頭はミニバラ角丼(ミニじゃないのもあります)。

ブロック状で食べ応えのありそうなバラ肉のかたまりがネギと共にご飯に載っている。一口食べていただければ、またその柔らかさと甘みに「!」と目を見開くだろう。

 

続いて、ファンも多い「ちょい飯」。

こちらは背脂とチャーシューが絡まっており、さっさっさっと、かきこめちゃう系の丼。

 

そのほかにもご飯ものはあり、またギョウザは開業以来ほとんど注文が途絶えたことのない人気を誇る。

 

そういうわけで、遠方の方はむずかしいかもしれないが、龍ちゃんというお店はぜひ何度も足を運んでいろいろと食べてみてほしいのが私の思いであります。

2021.9/6 起稿

 

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